ブリタニア植物図鑑
トスカナ松
Tuscany Pine
温帯に生息する植物−木−&寒帯に生息数する植物

●学名 Cupressus sempervirens
●分類 ヒノキ科イトスギ属
●花言葉 哀悼、死、絶望
●観察場所 温帯の一部、寒冷地全域など

株型一覧

◆A型
新・旧クライアント同一
緑葉型
背景変更:
解説

まず最初に名前の訂正から。英語でtuscany pineという言い回しが実際あるのかどうか知りませんが、どうもこの植物の名前として「トスカナ松」は相応しくない気がします。というのも、トスカーナ地方で有名な木で、このような形状をした植物ということを考慮すると、この植物はまず間違いなく「イタリアイトスギ」という木だからです。イタリアイトスギは松ではなくヒノキ科の植物であり、それを「松」と表現するのはおかしい気がするのです。ということで、ここではイタリアイトスギという名前で話を進めます。
ちなみに、「糸杉の木」のところでブリタニアの糸杉は沼杉であるという話をしましたが、このイタリアイトスギこそが糸杉と呼ばれるべき木なのです。

イタリアイトスギはイタリアのトスカーナ地方で最も有名な木です。そのため、ブリタニアではトスカナ松という名前になっているんでしょうね。トスカナという地名はブリタニアにはない地名なので、「ブリタニアの植生」の行方不明のハーバート氏も困惑しております。以下引用。
 しかしながら、ブリタニアの多様な植物相の中でいちばん不思議なのは、我々の言語とはあきらかに異質な名前を持つ植物たちである。なかでも私は以下の名前を挙げたい。トスカナ松(私はこの世界でトスカナと名付けられた地域を見たことがない)(訳注:イタリアのトスカーナ地方のこと)、オヒーツリー、これは熱帯の島々のように聞こえる名前だ(訳注:ハワイのオヒアOhiaのオヒア・レフアの木かもしれない)。そしてウェルシュ・ポピー、これは色と生息地が普通のポピーと異なるのだが、奇妙な言葉「踏み倒す」(Welsh)で始まっている。私が知るかぎりではこれは借金を払わないことである(訳注:Welshはイギリスのウェールズ)。
行方不明のハーバート著 『カジュアルガイド ブリタニアの植生』より
訳:

イタリアイトスギの特徴といえばやはり、その形状にあります。細く高く成長し、独特の円錐形の樹形をとるその様は非常に特徴的です。庭木などとしての人気も高く、宮殿の庭や公園、墓場の外壁に整然と植えられます。園芸品種も様々あり、日本でコニファーと呼ばれる園芸樹木のひとつです。中でもスワンズゴールデンという品種が有名でしょう。樹高は最大で25mほどにまで成長しますが、園芸的な意味合いからは小さめにかわいく育てるようです。

ブリタニアにおいて、トスカナ松はあまり一般的に見られる植物ではありません。寒帯にはたくさんあるのですが、温帯には一部の町や森などにいくつか見られる程度です。しかしながら、ブリタニアではクリスマスツリーとして有名な木でもありますね。

路上観察


ブリテイン西街道付近の森にて
◆自生している雰囲気のトスカナ松はあまりないのですが、ブリテインの西出口を出て、街道をまっすぐ進んだ最初のT字路のあたりに野性的なトスカナ松がいくつかあります。

◆トスカナ松といえばやはり寒帯ですね。寒帯では温帯では見る事ができないほどの多数のトスカナ松が生息しています。シーダーの木と並んで寒帯を代表する植物です。
ロストランド北極にて


パプア宿屋にて
◆パプアの宿屋「The Just Inn」には庭園がありますが、その庭園にはトスカナ松が植えられています。本当に園芸的な雰囲気にあう木ですね。

◆ヘイブンの銀行前の滝の横にもトスカナ松がありますね。温帯のトスカナ松は珍しいので拝んでおきましょう(笑)
ヘイブンにて

実物写真

本家本元イタリアのトスカーナ地方のイトスギです。イタリアで撮ってきました。ちなみに右に写ってるのはピサの斜塔です(笑)

トスカーナ地方では民家の庭先など到る所にイトスギが植えられています。トスカナ松と名付けた気持ちも分かります。

墓場の外壁に植えられたイトスギです。イトスギは天に向かって一直線に成長するため、死者が天国へと昇る道標だとされ、墓に植えられるんだそうです。花言葉の死や哀悼もこのことから由来しているのでしょう。

ちょっと近くで見るとこんな感じ。色が濃いので遠めで見るとべったりとして見えますが、近くで見ればしっかり葉っぱの陰影がありますね。

目次〜温帯〜
ページトップ
UOEN ©ZED,EBI.